垂直尾翼考

中村榮志さんの『超本格!おりがみ飛行機ベスト30』を久しぶりに出してきて、読みました。

中村さんの折り紙飛行機の本を読んだのは、実家の方の図書館で借りて読んだのが最初でした。

いま手元にあるこの本に収録されている作品はその著作の一部ですが、戸田さんのフライヤーやロングプレーン、ホーネットなどの元になったと思われる作品が入っていて、今でも中村作品が生きていることが分かります。

ところで、この本の最後には、中村さんがご自身で研究されたと思われる、垂直尾翼に関する話題が載っています。

中村さんの結論は、詰まるところ、垂直尾翼は翼の上面に出ていた方が良いということです。理由は色々なことが書かれていますが、3つばかり挙げると、

?本物の飛行機は垂直尾翼が上に出ているから。
?ざらざらしている紙の裏が出ないようにできるから。
?垂直尾翼が下にあると、上にあるときより機体が大きく傾くから。

ということです。しかし、私はこのことから「垂直尾翼は上にあった方が良い」という結論が必ずしも出ないのではないかと思います。

例えば、?については、下にあると離着陸の時に地面に当たって擦ってしまうからというのが、実機において垂直尾翼が上に出ている主たる理由だと思いますが、これは紙飛行機では全く問題のないことです。?については、品質の良い紙が手に入る今だから言えることかもしれませんが、紙のどちらの面を使おうと、明らかな性能差というのは確認できません。?については、(垂直尾翼の面積が十分にあるならば)これは上面にあるときよりも風見効果がより大きく働くからであって、むしろ「垂直尾翼は下にある方が良い」という結論を導くのに適当な理由であるように思います(なお、垂直尾翼が上面に出ている場合に横の静安定に貢献するのは確かですが、後で書くように、折り紙飛行機の場合、垂直尾翼を上面に出すとその面積が小さくなってしまうため、下にある場合に比べて風見効果が減少します。横の静安定は基本的に翼の上反角効果(折り紙飛行機の場合は後退角)によるものなので、これがために風見効果を犠牲にするのは本末転倒という気がします。またさらに書くと、折り紙飛行機の垂直尾翼は同時に胴体でもあるので、下に付いていると高翼式と同じ要領で上反角効果に貢献するのではないかと思います)。

垂直尾翼の一番大切な働きは、流れの下流に位置して、ベクトルの向きを安定させることにあると思います。紙をT字型に折って作った実験体が逆Tの字で落下することについては、垂直面が流れの下流になるように実験体が姿勢を取ったということであって、この結果から垂直尾翼が上にあった方が良いという結論は得られないと思います。その代わり、垂直尾翼が下流にあった方が良いという結論は得られると思います。

さらに、折り紙飛行機の場合、垂直尾翼を上に出すには、中割り折りをして、もともと下に出ている垂直尾翼を表裏反転させて上に出すことになります。この際、中割り折りによって垂直尾翼として機能しない領域ができます。そこは言ってみれば「無駄」な部分です。また、戸田さんもその著書で書かれているように、翼上面にあるモノ(=抵抗)は、昇降舵の要領で機首上げの元になります。

以上のことから、私は折り紙飛行機の性能ということで言うならば、垂直尾翼は上にあるよりは下にあった方が良いのではないかと思っています。

もっとも、デザイン的にはどちらに出ていようとも全く問題ないわけですけれども…



**まだまだ勉強不足ですので、誤りがあったら、指摘していただけると嬉しいです。

参考リンク
http://qrl.jp/?285301
垂直尾翼に関わって、スパイラルダイブとダッチロールについての分かりやすい記述がありました。
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