翼端を折っていない折り紙飛行機の翼の変形について

慶應義塾大学の体育研究所の先生にお願いして撮影していただいたハイスピード動画をチェックしていて、普通のビデオカメラで撮影した動画では機体が小さい上、高速で動くためによく分からなかった、折り紙飛行機の翼の変形が確認できましたのでご報告します。以下動画を切り抜いたものでお示しします。

撮影した日は比較的湿度の高い日で、かつ翼の大きく、翼端を折っていないために翼が変形しやすいダッシュ20を飛ばしましたが、このことも変形を観察しやすくしたことと思います。また、記念館の中が暗いので、白い紙飛行機の様子がよく見えることも幸いしました。

P1010928.jpg
ダッシュ20

翼が閉じている

上の画像は、ちょうど一番背中が反っている状態、まさに体のバネでもって投げ上げようとする瞬間を捉えたものです。ここにおいて、もともと水平に調整しておいた翼がかなり閉じてしまっていることが分かります。つまりきわめて上反角が大きくなっていることが分かります。このYの字状態は手から離れた後もしばらく継続し、速度が落ちてくると紙の弾力によってある程度元に戻りますが、折り紙飛行機を飛ばしていてだんだん翼がYの字になってくるのは、これによるものと思います。翼がYの字になるということは、「飛行機を宙返りさせる力」が小さくなるということであって、これが折り紙飛行機が意外と高く上昇することに関係しているとも考えられます。翼面積の大きな折り紙飛行機が意外と高く上がるのも、動安定や重心の問題の他に、上反角変化の大であることによっているのかも知れません。


翼の変形1 ⇒ 翼の変形2 ⇒ 翼の変形3 ⇒:時間の流れの向き
(飛行機は左斜め下を向いています)

これら3つの連続画像は左から、だんだん翼が下方に変形する様子を示したものです。テークバックから、機体の速度が乗ってくるごく初期の状態を捉えたものですが、もともとピンとしていた翼が大きくたわみ、非対称に波打つように変形し始め(1枚目)、その後翼の後方が下方に捻じれるように変形していることが分かります(2枚目、3枚目)。先端を閉じていない折り紙飛行機を強く投げると、たちまち胴体が開いてしまうのは、この力によるものと思いますが、ここにおいて、戸田折りの強力が分かります。また、3枚目の画像に見られる変形後の翼の形状は、51くらぶ松本さんが「ハンド・ファジー」の翼に採用されている流曲面形状そのものであって、これが速い対向流を迎えるにあたり、より無理のない形であることが分かります。

さて、翼が下方に変形するということは、昇降舵による機首上げ調整が相殺されることを意味するのであって、このことも先述の上反角の変化と同様、折り紙飛行機の上昇に貢献していると考えられます。また、先に触れたことと関連しますが、翼の大きな折り紙飛行機が意外と高く上がるのは、翼の剛性が低く、この下方変形が起こりやすいためであると考えられます。

これまでにも、折り紙飛行機が意外と上がるのは、翼の変形によるものだろうと考え、その旨過去のエントリに書いたことがありましたが、それは今まで確認できなかったことでした。経験的に分かっている事実群から、帰納して想像するに留まっていました。ところが、今回実際に翼の変形が宙返りを抑える方向で起こっていることがはっきり確認できたことで、変形が上昇に良い影響を及ぼしていることが分かりました。ただ、変形しすぎると悪い影響を与えるらしいこともまた観察されており、過ぎたるは及ばざるがごとしということで、「良い変形」にも限度があることも分かりました。

(※翼端を折ると、昇降舵の調整がシビアになること、また高く上がるようになることが経験的に分かっています。前者は翼端を折ると翼の剛性が増し、変形が抑えられることを、後者は、変形が大きいと却って上がらなくなることを示すものと思います。)

翼の下方変形については、翼端を折るとその様子が変わってくるでしょうから、また機会があれば翼端を折ったものを投げ上げたときの様子を撮影し、翼端を折らないものと比較してみたいと考えています。
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